業務分野

日本版司法取引

平成30年(2018年)に施行された「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度」(刑事訴訟法350条の2~350条の15)(いわゆる日本版司法取引制度)は、検察官と被疑者・被告人およびその弁護人が協議し、被疑者・被告人が「他人」の刑事事件の捜査・公判に協力するのと引換えに、自分の事件を不起訴または軽い求刑にしてもらうことなどを合意するという制度です。

この制度は、組織的な犯罪等において、事案の全容解明に役立つ証拠を獲得することを目的とするもので、一定の財政経済関係犯罪も対象とされていることから、企業活動にも大いに関わりがあります。

この制度における検察官との協議には、被疑者・被告人だけではなく弁護人も関与することが必要ですし、合意には弁護人の同意が不可欠とされている(刑事訴訟法350条の3350条の4)ことから、弁護人の果たす役割は大きく、財政経済関係犯罪の刑事実務に精通した弁護士の起用が非常に重要となります。

弊所においては、この制度を利用した第1号事案(不正競争防止法違反事件)における被疑者・被告人の弁護を行い、その後も、多数の企業や企業に属する役職員から、この制度の利用の適否等についての相談を受けて対応しているほか、企業や弁護士向けに、この制度に関する講演や研修等も行っております。